【囲い込み・両手仲介が違反する法令(REINS登録義務・双方代理禁止)】
1 囲い込み・両手仲介が違反する法令(REINS登録義務・双方代理禁止)
不動産流通業界での囲い込みは公然の秘密です。
詳しくはこちら|囲い込み|原因=両手の誘惑|具体的方法
当然、ルールとしては囲い込みを防止するメカニズムがあります。
2 REINS登録義務と常態(違反の横行)
売買の仲介(媒介)を引き受けた宅建業者は情報をREINSに登録することが義務付けられています。REINSは宅建業者が閲覧できるので、他の宅建業者が問い合わせをすることにつながります。
REINS登録義務と常態(違反の横行)
あ 法律の規定
ア REINS登録義務
仲介業者が売買・交換について専任媒介契約を締結した場合
→指定流通機構に7日または5日以内に物件登録義務を負う
※宅建業法34条の2第5項
※宅建業法施行規則15条の8
イ 強行性
指定流通機構への登録義務に反する特約は無効とする
※宅建業法34条の2第10項
い 現実
他の仲介業者へ物件情報を流さない
自らのつてで取引の相手方を探し出そうとする
契約当事者の双方から同時に仲介委託を受けようとする
両当事者から報酬を得ようとする
高額な仲介報酬が見込まれる物件ほどこの傾向が強い
このように、ルールが機能していない状況にあります。
3 双方受託×法律・制限
そもそも『当事者双方から受託できる』ことが根本的問題です。
これについての現行ルールを整理します。
双方受託×法律・制限
あ 双方×代理→禁止
『代理』について
→双方からの依頼は受けられない
※民法108条本文
い 双方×媒介→可能
『媒介』について
→双方代理の禁止は適用されない
告示は双方からの手数料受領を前提としている
※宅建業法46条、建設省告示1552号『第2』
ルール上『代理』は双方からの受託ができません。
『媒介』だけは双方から受託できます。
しかし、この2つはミックスしてしまう傾向があります。
4 『代理/媒介』ミックス傾向
代理と媒介は本来別の扱いです(前記)。
しかし、違いがハッキリしない状況が生じています。
『代理/媒介』ミックス傾向
あ 代理/媒介ミックス|行政見解
代理業者が代理行為と併せて媒介行為を行う場合
→相手方からも報酬を受け取ることができる
『媒介』の対価に限られる
※昭和45年10月23日計画局長通達211号
※『解釈・運用の考え方』第45条第1項関係・p32
い 批判
代理業者が相手方から報酬を受領すること
→これを容認するような取扱いは定めるべきではない
※明石三郎ほか『詳解宅地建物取引業法』大成出版社p150
5 双方受託禁止方針vs既存業界(概要)
双方受託・両手仲介はさまざまな害悪の根源となります。
現行ルールでは結果的に防止策として実効性がありません(前記)。
従前から禁止する趣旨の公的な提言が繰り返されています。
しかしなかなかルール整備は進みません。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|仲介業者の不正・双方受託×公的提言・法整備