【自動車リースの規制廃止(『使用者』への有償貸渡の適用除外)】
1 レンタカーとリースの違い
2 レンタカーとリースの規制の変化
3 自動車リース業の目的と実態
4 自動車リースと脱法行為のリスク
5 有償貸渡禁止規定の改正前後の比較
1 レンタカーとリースの違い
法規制に関しては,レンタカーと自動車のリースでは大きく違います。
以前は同じ扱いがされていた時期もありますが,法改正で異なる扱いに至ったのです。
本記事では,レンタカーとリースについての規制の変化について説明します。
最初に,レンタカーとリースの根本的な違いをまとめます。
<レンタカーとリースの違い>
サービス形態 | 所有者 | 使用者 |
レンタカー | 事業者 | 事業者 |
リース | 事業者 | ユーザー |
2 レンタカーとリースの規制の変化
レンタカーとリースの法規制は,平成18年の法改正で違う扱いとなりました。
<レンタカーとリースの規制の変化>
あ 改正前の規制
レンタカー業・自動車リース業について
→運送事業の許可の脱法行為のおそれがあった
→許可制の対象となっていた
い 平成18年改正
自動車リース業について許可制を廃止した
レンタカー業の許可制は維持された(変更なし)
う 規定の内容
『借受人』が『使用者』であるケースは禁止の対象外である
※道路運送法80条1項ただし書
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p106
3 自動車リース業の目的と実態
自動車リースというサービスの目的と現実的な実態をまとめます。これが法改正の要因になっているのです。
<自動車リース業の目的と実態(※1)>
あ 基本的事項
長期継続的な自動車の使用が予定される
一般的に『い・う』の目的によって行われる
い 金融機能
購入よりも費用の平準化を図る
比較;購入の場合は購入時に多額の費用が必要である
所有権留保による金融機能と同様である
詳しくはこちら|所有権留保|設定方法・実行方法・利用例
う 車両管理業務負担の軽減
ユーザーの管理業務の負担を軽減する
経費管理や維持保守管理
特にメンテナンスリースの場合はユーザーの管理の負担がほぼなくなる
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p106
4 自動車リースと脱法行為のリスク
自動車リースの現実的な状況(前記)から,規制が廃止されることになりました。
<自動車リースと脱法行為のリスク>
自動車リースは一般的に類型的な目的・態様(前記※1)である
→運送事業許可の脱法行為として行われるおそれは極めて小さい
→許可制の対象から除外した
=自動車リース業の許可制を廃止した
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p106
5 有償貸渡禁止規定の改正前後の比較
平成18年の道路運送法の改正でリースの規制が廃止されました(前記)。これに関係する具体的な条文の改正前後の内容をまとめます。
<有償貸渡禁止規定の改正前後の比較>
あ 平成18年改正前
(有償運送の禁止及び賃貸の制限)
第八十条 自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない。
ただし、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であって、国土交通大臣の許可を受けたときは、この限りではない。
2 自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ業として有償で貸し渡してはならない。
3 前条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
※道路運送法80条
い 平成18年改正後
(有償貸渡し)
第八十条 自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない。ただし、その借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は、この限りでない。
2 国土交通大臣は、自家用自動車の貸渡しの態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除くほか、前項の許可をしなければならない。
※道路運送法80条