【先物取引・FXの課税の扱い(特例による独自の所得分類での分離課税)】

1 先物取引・FXの課税の扱い
2 先物取引・FXの課税の共通事項
3 先物取引の所得の扱い
4 外国為替証拠金取引(FX)の所得の扱い

1 先物取引・FXの課税の扱い

先物取引や外国為替証拠金取引(FX)による利益は,課税上,政策的に特別な扱いがなされます。
これらの利益は独立して計算・課税されるのです。
このような制度(税制)は,仮想通貨の取引など,新しく登場した所得の扱い(税制)を考える上で非常に参考となります。
本記事では,先物取引・FXの課税の扱いについて説明します。

2 先物取引・FXの課税の共通事項

先物取引とFXの所得(利益)の課税に関して共通することは,法律上特別な扱いがなされているということです。
本来的な所得区分による分類(譲渡所得や雑所得)を使わないのです。

<先物取引・FXの課税の共通事項>

あ 本来的な所得分類

先物取引・FXによる所得について
→事業所得・譲渡所得・雑所得にあたる場合がある

い 法律上の分類

所得分類(あ)に関わりなく
独立した分離課税の対象とする
法律上の分類である=分類についての解釈の問題は生じない
※特別措置法41条の14

3 先物取引の所得の扱い

先物取引による所得(利益)”は,課税上独立して分離課税とされます。他の所得との損益通算はできません。損失については,翌年以降への繰越控除ができます。

<先物取引の所得の扱い>

あ 対象となる取引

ア 本来の所得区分 先物取引に係る事業所得の金額・譲渡所得の金額・雑所得の金額の合計額
イ 対象となる先物取引(決済)の内容 商品先物取引の決済
金融商品先物取引(ウ)の決済
ウ 金融商品先物取引の内容 ・有価証券先物取引
・有価証券指数等先物取引
・有価証券オプション取引
・取引所金融先物取引
通貨等先物取引・金利等先物取引・金融オプション取引
カバードワラント(上場・店頭)の差金決済・譲渡
店頭デリバディブ取引
※租特法41条の14第1項,租特法施行令26条の23第1項

い 分類(独自区分)

他の所得と区分する
『先物取引に係る雑所得等』と呼ぶ

う 課税方式

申告分離課税となる

え 税率

所得税15%+地方税5%
(復興特別所得税あり)
※租特法41条の14第1項

お 損益通算

なし
※租特法41条の14第1項,2項2号

か 損失の繰越控除

あり(一定の範囲で3年間)
※租特法41条の15第1項,2項
外部サイト|国税庁|タックスアンサー1522

4 外国為替証拠金取引(FX)の所得の扱い

FXによる利益の課税上の扱いも,ほぼ先物取引と同じです。
申告分離課税となり,損益通算はできません。そして損失の繰越控除はできます。

<外国為替証拠金取引(FX)の所得の扱い>

あ 対象となる取引

外国為替証拠金取引(FX)の差金等決済

い 分類(独自区分)

他の所得と区分する
『先物取引に係る雑所得等』と呼ぶ

う 課税方式

申告分離課税となる

え 税率

所得税15%+地方税5%
(復興特別所得税あり)

お 損益通算

なし

か 損失の繰越控除

あり(一定の範囲で3年間)
外部サイト|国税庁|タックスアンサー1521

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