【仮想通貨に関するビジネスにおける法的リスク・問題(セミナー用資料)】
1 自己紹介
2 仮想通貨の所持に伴うリスク
3 仮想通貨の決済に伴うリスク
4 仮想通貨交換・販売サービス(交換所)の法規制
5 仮想通貨の決済サービスの法規制
6 仮想通貨の発行(ICO)の法規制
7 仮想通貨の貸し借りの法規制
8 仮想通貨についての差押不能リスク
平成30年4月13日に実施された株式会社インプレス主催のイベント『ブロックチェーンでビジネスが変わる~技術動向、ビジネス変革~仮想通貨の最新動向から危機管理まで』の中の特別講演として『仮想通貨に関するビジネスにおける法的リスク・問題』というテーマで話しました。このセミナーの資料です。
1 自己紹介
<自己紹介>
弁護士法人みずほ中央法律事務所
代表弁護士 三平聡史
<略歴>
1996年 早稲田大学理工学部卒
2002年 弁護士登録
2007年 弁護士法人みずほ中央法律事務所開設
<最近の主な扱い分野>
仮想通貨をはじめとするブロックチェーン技術を使ったさまざまなサービス
民泊などのシェアリングエコノミーのサービス
これらに関する法的サポート
2 仮想通貨の所持に伴うリスク
<カウンターパーティーリスク>
(預託先の倒産時の被害)
所有権(権利の帰属)
信託の成立
→法的扱いに曖昧なところがある
<送金の操作ミスによる消失リスク>
送金時のアドレス入力ミス
暗証紛失
価値の変動のリスクもある(後述)
3 仮想通貨の決済に伴うリスク
<価値の変動リスク>
原則は名目主義
→取引における特約の活用
<課税リスク>
あ 消費税
課税なし
い 所得税
ア 雑所得
損益通算・損失の繰り延べの適用なし
イ 事業所得
<同時履行の確保(ファイナリティ)>
あ 決済サービスの利用
ファイナリティに問題はない
い メインネットワーク上の送金
ファイナリティの認定に時間を要することがある
→同時履行の確保が難しくなる
<決済サービスのサービス停止>
決済サービスを提供する交換所の行政処分
→決済サービスの提供が停止されるリスク
<盗難コインの扱い>
あ 支払拒否
盗難コインで払うことを拒否できるか(拒否されるか)
い 返還義務
被害者に返還する義務はないか
う 盗品等譲受罪
盗品等譲受罪→該当しない方向性
4 仮想通貨交換・販売サービス(交換所)の法規制
<仮想通貨交換業者登録>
仮想通貨交換業を行うためには登録が必要である
一定の規模の組織・体制が求められる
半年〜1年程度の時間を要する
<高収益性と法規制のバランス>
あ 超高収益性
スプレッド(実質的手数料)が非常に高い
→高い収益性がある
い 法規制の可能性
資金決済法上の利用者保護
消費者契約法の有利誤認
これらに抵触する可能性も出てくる
<クロスボーダーの問題>
仮想通貨交換サービスはほぼオンラインで完結する
→法(規制)の適用エリアの問題がある
5 仮想通貨の決済サービスの法規制
<資金移動業登録など>
あ 『為替取引』の規制
『為替取引』のサービス
→資金移動業登録or銀行業免許が必要である
い 仮想通貨の決済サービス
仮想通貨を用いた決済の仕組み
→『為替取引』に該当しない方向性
6 仮想通貨の発行(ICO)の法規制
<資金決済法(仮想通貨交換業)>
あ 登録の必要性
仮想通貨の発行(ICO)について
仮想通貨交換業者登録が必要となる方向性
い コインの審査
金融庁のホワイトリストに掲載される必要がある
う 海外での発行
海外で販売して実績を作る方法もある
→日本の法規制の適用の可能性に注意が必要
<金融商品取引法>
法定通貨との関連性が高い+利益の配当がある場合
→集団投資スキームに該当する可能性がある
→この場合は登録などが必要になる
7 仮想通貨の貸し借りの法規制
<仮想通貨を貸す>
あ 貸金業法
い 利息制限法
いずれも適用されない
<仮想通貨を預かる>
出資法
→適用されない
8 仮想通貨についての差押不能リスク
<仮想通貨の差押>
仮想通貨を差し押えること
→手続自体はあるが実効性はない