【戸籍の移動(新戸籍編製・転籍)によって移記される事項とされない事項】
1 戸籍の移動(新戸籍編製・転籍)によって移記される事項とされない事項
2 戸籍の移動の時に移記される事項
3 戸籍の移動の時に移記されない事項
4 移記されなかった事項の調査(概要)
1 戸籍の移動(新戸籍編製・転籍)によって移記される事項とされない事項
戸籍の情報が,別の戸籍に移ることがあります。新戸籍の編製や転籍という
手続のことです。
この場合,従前の戸籍の記載内容には,新たな戸籍に移記される(移される)ものと移記されないものに分かれます。
移記されない事項は,一見すると,消えたように見えます。
そこで,戸籍の調査では注意が必要なのです。
本記事では,戸籍の移動において移記される事項と移記されない事項を説明します。
2 戸籍の移動の時に移記される事項
最初に,戸籍の移動の際,新たな戸籍に移記される事項をまとめます。
<戸籍の移動の時に移記される事項>
あ 戸籍の移動(前提)
戸籍の『移動』=新戸籍の編製・他の戸籍に入る・転籍する
い 『移動』時の記載(移記)事項
ア 出生に関する事項イ 認知に関する事項(非嫡出子)ウ 現に養親子関係の継続する,養子縁組に関する事項(養子)エ 婚姻に関する事項・配偶者の国籍に関する事項(夫婦)オ 親権or未成年者の後見に関する事項(未成年者)カ 推定相続人の廃除に関する事項キ 日本の国籍の選択の宣言or外国の国籍の喪失に関する事項ク 名の変更に関する事項ケ 性別の取扱いの変更に関する事項 ※戸籍法施行規則39条1項
3 戸籍の移動の時に移記されない事項
戸籍の移動の際,移記されない事項もあります。新たな戸籍には記載がなくなっているので,一見して抹消されたような感じになります。
<戸籍の移動の時に移記されない事項>
あ 過去の婚姻で解消(離婚)済のもの
い 離婚
う 過去の養子縁組で解消(離縁)済のもの
4 移記されなかった事項の調査(概要)
戸籍の移動で過去の婚姻や離婚(離婚歴)は,消えたようになります(前記)。
そのため,『離婚歴を消した』『戸籍ロンダリングだ』と驚く方もいらっしゃるようです。
しかし,当然ですが,公的な記録として消失するわけではありません。過去の戸籍を調査する方法があり,これによって判明します。
<移記されなかった事項の調査(概要)>
移動前の戸籍事項は除籍として保管(記録)されている
→これを閲覧or証明書交付請求をする
詳しくはこちら|住民票・戸籍の情報の取得方法(閲覧・証明書交付請求)と開示される者の範囲
本記事では,戸籍の移動の際に移記される事項と移記されない事項を説明しました。
実際には戸籍の内容を正確に読み取ることが簡単にできないこともあります。
実際に戸籍の内容やその調査方法に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。