【承諾の期間の定めのある申込(民法523条)(解釈整理ノート)】

1 承諾の期間の定めのある申込(民法523条)

契約は、申込と承諾の2つの意思表示により成立します。これに関するルールとして、民法523条があります。承諾の期間を定めた申込に関するルールです。本記事ではこれに関する解釈を整理しました。

2 民法523条の条文

民法523条の条文

(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
※民法523条

3 「申込み」と「承諾」の定義(前提)

「申込み」と「承諾」の定義(前提)

あ 申込みの意味

ア 申込みの定義 特定の内容を有する契約を締結しようという意思をもって他人に対してなされる意思表示
契約内容が確定している場合、客観的に確定できる場合、一部を将来の手続・折衝に委ねる場合も含む
相手方は特定または不特定多数でもよい
イ 申込みの「誘引」との区別 相手方の意思表示をまってそのうえでさらに契約を成立させるかどうかを考慮する余地を残す場合は申込みの「誘引」である
例=「貸間あり」の広告や店頭の商品陳列

い 承諾の意味

ア 承諾の定義 申込みに対してこれを応諾し、申込みの通りの契約を締結しようという意思表示
イ 方法 明示または黙示での承諾が可能
黙示的承諾の例=仲裁期日に異議なく出頭したケース
※最判昭和47年10月12日

4 民法523条(平成29年改正後)の要点

民法523条(平成29年改正後)の要点

あ 撤回の可否

ア 原則→撤回禁止 承諾の期間を定めてした申込は、撤回することができない
イ 例外 申込者が撤回をする権利を留保したときは、撤回することが可能である
(平成29年改正による明文化)

い 申込の効力喪失

申込者が承諾期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込は効力を失う
承諾期間経過後に到達した承諾では契約は成立しない

う 平成29年改正

改正前の民法521条が(改正後の)民法523条となった
実質的には(規範は)変わっていない

5 民法523条の趣旨(深掘り)

民法523条の趣旨(深掘り)

あ 趣旨

承諾の期間を定めてする申込みには、原則として撤回できないという拘束力がある
これは、申込みを受けた相手方の利益を保護するための規定である

い 相手方の利益

申込みを受けた者は、定められた期間までに調査その他の準備をするのが通常である
申込者が任意に撤回できるとすると、相手方は不測の損害を被るおそれがある

6 関連テーマ

(1)意思表示の撤回(民法97条)

契約の申込も意思表示の1つです。「意思表示」の一般的ルール(解釈)として撤回の期限(可否)があります。これは、民法523条(本記事)とは別の(両立する)ルールです。
詳しくはこちら|意思表示の撤回(可否・タイミング・方式)(解釈整理ノート)

7 参考情報

参考情報

我妻栄ほか著『我妻・有泉コンメンタール民法 第8版』日本評論社2022年p1110〜1112

本記事では、承諾の期間の定めのある申込について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際にいろいろな契約の有効性(成立しているかどうか)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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