【承諾の期間の定めのない申込(民法525条)(解釈整理ノート)】

1 承諾の期間の定めのない申込(民法525条)(解釈整理ノート)

契約は、申込と承諾の2つの意思表示により成立します。これに関するルールとして、民法525条があります。承諾の期間を定めない申込に関するルールです。本記事ではこれに関する解釈を整理しました。

2 民法525条の条文

民法525条の条文

(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十五条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3 対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。
※民法525条

3 民法525条(平成29年改正後)の要点

<民法525条(平成29年改正後)の要点>

あ 原則→撤回制限

承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、原則として撤回することができない

い 撤回制限の例外

(ア)申込者が撤回をする権利を留保したときは撤回可能(イ)対話者に対してした申込みの場合、対話が継続している間はいつでも撤回可能

う 「相当な期間」の意味

次のような時間の合計である
(ア)申込みを受けた者が諾否を決するために必要な考慮をする時間(イ)承諾の通知が申込者に到達するのに必要な時間 〜〜〜

4 対話者に対する申込の効力

対話者に対する申込の効力

あ 基本

対話者に対してした申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは効力を失う

い 効力喪失の例外

申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、効力は維持される

5 申込の承諾適格

申込の承諾適格

「相当な期間」を経過しても、申込者が撤回しない限り、申込みの承諾適格(承諾により契約を成立させることができる資格)は直ちには消滅しない
ただし、申込みの趣旨・取引慣行・信義則に従って、一定期間経過後は承諾適格が消滅する
※大判明治39年11月2日

6 民法523条の平成29年改正のポイント

民法523条の平成29年改正のポイント

あ 平成29年改正による変更点

(ア)適用対象を「隔地者」に限定せず拡大(イ)申込者による撤回権の留保規定を追加(ウ)対話者間の申込みに関する規定を新設(エ)承諾適格の存続期間に関する規定を新設

い 改正の趣旨

申込みを承諾するか否かを決めるために費用を支出した相手方が、申込みの撤回によって損失を被ることを防止する
時間的な隔たりの有無に関わらず規定の趣旨が妥当すると考えられる
申込み後、相手方が承諾しないと申込者が考えるのが当然である程の時間が経過した場合の信頼を保護する

7 関連テーマ

(1)意思表示の撤回(民法97条)

契約の申込も意思表示の1つです。「意思表示」の一般的ルール(解釈)として撤回の期限(可否)があります。これは、民法525条(本記事)とは別の(両立する)ルールです。
詳しくはこちら|意思表示の撤回(可否・タイミング・方式)(解釈整理ノート)

8 参考情報

参考情報

※我妻栄ほか著『我妻・有泉コンメンタール民法 第8版』日本評論社2022年p1113、1114

本記事では、承諾の期間の定めのない申込について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際にいろいろな契約の有効性(成立しているかどうか)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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