【提訴前当事者照会・提訴前証拠収集処分の制度の利用状況(情報整理ノート)】
1 提訴前当事者照会・提訴前証拠収集処分の制度の利用状況(情報整理ノート)
平成15年の民事訴訟法改正で、提訴前の当事者照会と証拠収集処分の制度が新たに作られました。
詳しくはこちら|提訴前照会・提訴前証拠収集処分の総合ガイド
紛争解決(を検討する)初期段階で情報や証拠を集めることができる有用な手段ですが、結論としてはほとんど使われていません。本記事では、このような利用状況について整理しました。
なお、実務で実際にこれらの制度を使うことがゼロではありません。これらの制度を使って有利な情報や証拠獲得ができることもあります。「実情、傾向」にとらわれて選択肢から除外するのはもったいないです。
(1)提訴前の当事者照会の利用の実情
提訴前の当事者照会の利用の実情
あ 利用状況の実態
提訴前の当事者照会は裁判所を介さないため統計は存在しないが、実務上の利用はほぼ皆無に近い
い 低調な利用状況の原因
非制裁型スキームである(照会に応じなくても制裁がない)
訴え提起前に相手方に手の内を予想させる懸念がある
利用には提訴予告通知が必要であり、手続が煩瑣である
(2)提訴前の証拠収集処分制度の利用の実情
提訴前の証拠収集処分制度の利用の実情
あ 傾向
提訴前の証拠収集処分制度はほとんど活用されていない
い 大阪地裁の報告→文書提出命令は少しある
大阪地裁の報告によれば、文書の送付嘱託を除き、提訴前の証拠収集処分の利用実績は皆無である
平成16年4月1日から平成17年10月31日までの19か月間で、11件の提訴前の文書送付嘱託の申立があった
う 低調な利用状況の原因
第三者の任意の協力義務にとどまるもので、必ず文書や調査結果が得られるとは限らない
相手方に手の内を予想させる結果となりかねない
提訴予告通知が必要であり、その手続が煩瑣である
(3)提訴前の証拠収集制度の課題
提訴前の証拠収集制度の課題
(4)参考情報
参考情報
本記事では、提訴前当事者照会・提訴前証拠収集処分の制度の利用状況について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際にまだ訴訟を提起する前の段階での情報・証拠集めに関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。