【嫡出推定・誤作動・基本|推定が『及ぶ/及ばない』】
1 嫡出推定・誤作動|基本
2 嫡出推定・誤作動|行政・家裁の扱い
3 嫡出推定・誤作動|出生届|概要
4 嫡出推定・誤作動×認知の可否
5 嫡出推定・誤作動→解消|家裁の手続
6 嫡出推定・誤作動×DNA鑑定|判例
7 嫡出推定×『受ける』『及ぶ』|用語整理
1 嫡出推定・誤作動|基本
嫡出推定が『誤作動』を生じることがあります。
まずは『誤作動』の基本的事項をまとめます。
<嫡出推定・誤作動|基本>
あ 誤作動|発現条件
次のいずれにも該当する
ア 嫡出推定に該当する
形式的には『夫』と『子』が『嫡出推定』に該当する
イ 血縁関係なし
『夫』と『子』には血縁上の親子関係はない
い 法的扱い|基本
『夫』と『子』が『嫡出推定』に該当する
=『夫』の『嫡出子』として扱われる
2 嫡出推定・誤作動|行政・家裁の扱い
『誤作動』による行政・家裁の扱いをまとめます。
<嫡出推定・誤作動|行政・家裁の扱い>
あ 公的扱い|基本
役所では『嫡出推定』を形式的に適用する
→原則的に『推定に反する』扱いはできない
詳しくはこちら|嫡出子・嫡出推定|基本|差別的ニュアンス・再婚禁止期間・準正
い 行政の扱い
市区町村役場での『出生届』『認知届』の扱いのことである(後記)
う 家裁の扱い
申立ができる手続の種類の分類のことである(後記)
3 嫡出推定・誤作動|出生届|概要
嫡出推定の誤作動により出生届の扱いが複雑になります。
まずは出生届の扱いの概要をまとめます。
<嫡出推定・誤作動|出生届|概要>
あ 原則
『夫』を『父』として扱う
詳しくはこちら|嫡出推定・誤作動|出生届|戸籍の訂正|義務・期限・罰則
い 例外
特殊事情による例外的扱いもある
詳しくはこちら|懐胎時期に関する証明書|嫡出推定の誤作動を解消する役所の扱い
それぞれの詳しい内容はそれぞれ別に説明しています。
4 嫡出推定・誤作動×認知の可否
嫡出推定の誤作動により『認知できるかどうか』に影響を与えます。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|嫡出推定・誤作動×認知の可否|嫡出否認が必要|例外=推定が及ばない
5 嫡出推定・誤作動→解消|家裁の手続
嫡出否認の誤作動を解消する原則的方法をまとめます。
<嫡出推定・誤作動→解消|家裁の手続>
あ 誤作動の解消|基本
嫡出推定の誤作動がある場合
→解消するには原則的に家裁の手続が必要である
い 家裁の手続
次の3種類について『調停・訴訟』がある
ア 嫡出否認イ 親子関係不存在確認ウ 認知請求
手続の種類の分類については別に説明しています。
詳しくはこちら|親子関係・手続|基本・まとめ|背景・実情・法的根拠
6 嫡出推定・誤作動×DNA鑑定|判例
嫡出推定の誤作動があると家裁の手続が必要となります(前記)。
現在はDNA鑑定により『血縁関係』の確実な判定が可能です。
そこで『推定の適用除外』をすべきという考えもあります。
これに関して最近の最高裁で判断が示されました。
<嫡出推定・誤作動×DNA鑑定|判例>
あ 争点|実質面
『嫡出推定の適用の有無』により『申立期間制限の有無』が変わる
仮に『期間制限あり』だとすると『期限切れ』となってしまう
い 裁判所の判断|概要
DNA鑑定で明確に生物学上の父子関係が否定された場合
→嫡出否認の申立期間制限について『推定が及ばない』には該当しない
=嫡出否認の申立期間制限が適用される
※最高裁平成26年7月17日
詳しくはこちら|嫡出否認・申立期間制限|DNA鑑定との関係・見解の対立・最高裁判例
このように『嫡出推定の適用』は『科学的判断』とはイコールではないのです。
あくまでも法律上の解釈・判断である,ということなのです。
7 嫡出推定×『受ける』『及ぶ』|用語整理
以上の説明で嫡出推定が『及ぶ/及ばない』という用語を使いました。
この点『推定を受ける/受けない』という用語もあります。
日本語としては同じ意味だと捉えてしまいます。
しかし,実務的な用語としては別の意味です。
間違えやすいので,ここにまとめておきます。
<嫡出推定×『受ける』『及ぶ』|用語整理>
ネーミング | 嫡出推定に該当する/しない | 真実 |
推定を『受けない』 | 形式的に該当しない | 『夫』と『子』の血縁関係はある |
推定が『及ばない』 | 形式的に該当する | 『夫』と『子』の血縁関係はない |
推定を『受けない』というテーマについては別に説明しています。
詳しくはこちら|嫡出推定を『受けない』×出生届|救済措置・デキ婚普及・最高裁コメント
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