【住宅ローンが残るマイホームに離婚後も妻子が住めることになった】

1 事案の分類
2 事案の内容
3 当事務所による解決
4 依頼前後の状況変化
5 解決のポイント

1 事案の分類

離婚請求 求めた
離婚原因 性格の不一致
依頼者の性別 女性(40代)
子供の有無 あり
依頼者の職業 専業主婦
相手の職業 会社員
争点(対立した内容) 養育費・(財産分与)不動産
解決手続 交渉
依頼時期 婚姻12年・別居1年以内

2 事案の内容

夫と妻が,離婚することについては意見が一致していました。
妻は,子供と一緒に将来もマイホームに住み続けたいと思っていました。
しかし,マイホームの住宅ローンはまだ600万円程度が残っている状態でした。
夫は,離婚後にローンを残したくないので売却して完済したいといっていました。
実際に仲介業者に査定してもらい,売却の仲介を依頼する予定となっていました。
妻はマイホームを手放して出ていかなくてはならなったら困ると思い,とても心配していました。

3 当事務所による解決

当事務所は妻からの依頼を受任しました。
当事務所の弁護士は夫との交渉を開始しました。
夫は離婚後に住宅ローンを払うことはしたくないという強い気持ちがありました。
そこで,当事務所の弁護士は夫に『住宅を妻が引き取るとともに,将来の住宅ローンの返済を妻が(夫に代わって)行う』という提案をしました。
住宅ローンの債務者は夫のままなので,夫はその部分で提案を受け入れませんでした。
この点は,『離婚の時の妻への所有権移転登記は仮登記だけにしておく・ローン完済の時に本登記をする』という提案をしたところ,夫が承服しました。
一方で,子供の養育費としては,標準的な金額よりも高く,月額12万円としました。
これでローンの返済も一応できる状態で離婚が成立しました。
なお,その約半年後に(元)妻は,両親から税の優遇措置を利用して援助(資金贈与)を受けました。住宅ローンは早期に完済できたということでした。

4 依頼前後の状況変化

依頼前 マイホームを売却する予定となっていた
依頼後 マイホームを取得して離婚することができた

5 解決のポイント

マイホームは所有とローンの債務者が夫だけとなっているケースが多いです。
詳しくはこちら|住宅ローンが残っている住宅の財産分与の全体像(分与方法の選択肢など)
金融機関(銀行)も絡むので,離婚の時の財産分与ではいろいろな問題が出てきます。
『離婚の時は仮登記にとどめる』という中間的な手法で夫・妻の両方の不安を抑えることができます。
このように細かい工夫によって,それぞれにとって有利(不利益が少ない)選択肢を作ることで,解決が実現したケースです。
なお最近はペアローンも増えています。
ペアローンの扱いも含めた解決した事例は別の記事で紹介しています。
詳しくはこちら|ペアローン(住宅ローン)を離婚後も夫が払う条件で離婚が成立した

多額の資金をめぐる離婚の実務ケーススタディ

財産分与・婚姻費用・養育費の高額算定表

Case Study ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、離婚費用、養育費の高額算定表 三平聡史 Satoshi Mihira [著] 日本加除出版株式会社

三平聡史著の書籍が発売されました。

高額所得者の場合の財産分与、婚姻費用・養育費算定はどうなる? 標準算定表の上限年収を超えたときの算定方法は? 54の具体的ケースや裁判例、オリジナル「高額算定表」で解説!

弁護士法人 みずほ中央法律事務所 弁護士・司法書士 三平聡史

2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分

相続や離婚でもめる原因となる隠し財産の調査手法を紹介。調査する財産と入手経路を一覧表にまとめ、網羅解説。「ここに財産があるはず」という閃き、調査嘱託採用までのハードルの乗り越え方は、経験豊富な講師だから話せるノウハウです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINE
【妻は不倫をしていたが婚姻費用や養育費の活用で慰謝料ゼロで離婚できた】
【ペアローン(住宅ローン)を離婚後も夫が払う条件で離婚が成立した】

関連記事

無料相談予約 受付中

0120-96-1040

受付時間 平日9:00 - 20:00