【フレックスタイム制度は出社,退社時刻が固定されない】

1 フレックスタイムとは
2 フレックスタイムでも残業は適用になる
3 フレックスタイムの導入手続
4 フレックスタイム制度ではコアタイム設定もできる
5 フレックスタイムにおける設定時間の上限
6 フレックスタイム制度で,労働時間過不足の繰越は制限される
7 フレックスタイムでも休憩時間のルールが適用される

1 フレックスタイムとは

フレックスタイムの制度は,職場への出社,退社時刻を固定しないものです。
そして,一定期間の間に働く時間数を予め決めておきます。
例えば,1週間40時間,といった要領です。
その総時間数を守っていれば,従業員がいつ出社していつ退社するかは自由です。

2 フレックスタイムでも残業は適用になる

例えば,週40時間,と定められている場合,週の合計労働時間が40時間を超過すると残業代は支給されます。
逆に,1日8時間以上働いた場合でも,残業代は出ません。
労働基準法違反にはなりません。

3 フレックスタイムの導入手続

フレックスタイム制を導入するために必要な手続をまとめます。

<フレックスタイム導入の手続>

・労使協定の締結
 残業時間の協定=36協定とは違います。
・就業規則に規定する

原則として36協定や変形労働時間制などの導入は必要ありません。

4 フレックスタイム制度ではコアタイム設定もできる

1日のうち,忙しい時期があったり,打ち合わせをする時間帯を設定したりすることがあります。
このような場合,例えば,11時~15時をコアタイムとします。
要は,従業員は,この時間帯だけは勤務が強制される,ということになります。

5 フレックスタイムにおける設定時間の上限

フレックス制度でも,1週間の労働時間の上限は40時間が適用されます。
この上限を上げるためには36協定など,特有の手続きが必要です。
さらに,残業代を支払うことも必要となります。
<→別項目;

6 フレックスタイム制度で,労働時間過不足の繰越は制限される

通常,フレックスタイムで定めた一定時間と実際の労働時間に過不足が生じます。
この繰越は自由にできるわけではありません。

<フレックスタイム制度での時間繰越制限>

3対象期間 次の期間 適法性
超過して働いた その分労働時間を減らす
労働時間が不足した 労働時間を増やして穴埋め

要するに,働き貯めはできません。
これがOKだと,残業を強制されることにつながるからです。

逆に,労働時間の穴埋め(借金)はできます。
自主的に前期間の不足時間分を働くことです。
会社側による強制ということにはつながらないのです。

7 フレックスタイムでも休憩時間のルールが適用される

フレックスタイム制度でも休憩時間については通常どおりの規定が適用されます。
労働基準法上の休憩時間の規定は次のとおりです。

<休憩時間の最低限>

1日の労働時間 休憩時間
6時間を超える 45分
8時間を超える 1時間

※労働基準法34条

条文

[労働基準法]
(休憩)
第三十四条  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
○2  前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
○3  使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

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