【金融機関での相続手続(預貯金・株式・有価証券の名義書換)】

1 預貯金×相続手続
2 有価証券(株式・投資信託・社債)×相続手続
3 株式×相続手続|基本|『名義書換』
4 株式×相続手続|『株券』現物
5 株式×相続手続|『株券』がない場合・特殊

1 預貯金×相続手続

預貯金の相続については,平成28年の判例変更により,遺産分割の対象となりました。そこで金融機関での相続の手続では次のようなものが要請されます。

<預貯金×相続手続>

遺産分割協議書や『相続手続依頼書』の提出が要請される
詳しくはこちら|相続人の預貯金払戻請求と金融機関の対応(全体・平成28年判例変更前)

なお,この対応は平成28年の判例変更前も同様でした。理論的には違う解釈だったのですが,実務的には理論どおりではない,という状態だったのです。

2 有価証券(株式・投資信託・社債)×相続手続

遺言がない場合,遺産の株式・投資信託・社債は『遺産共有』となります。
詳しくはこちら|共同相続による基本的財産の遺産共有or分割承継の区別
つまり,遺言か遺産分割により,最終的な『承継・帰属』が確定する,ということです。
最終的な承継が確定した時点で一定の相続手続が必要となります。

<有価証券(株式・投資信託・社債)×相続手続|証券会社>

あ 基本的な手続

基本的には『預貯金の場合』同様

い 『移管』手続

ア 代表相続人の取引口座を新たに開設する 届出印・本人確認書類が必要になる
イ 被相続人名義の口座からの『移管』手続を行う

3 株式×相続手続|基本|『名義書換』

株式については,相続手続で特有の手続が必要になります。
通常は『保管振替制度』により,証券会社が『株式を保管している』状態です。
この,基本的な状況での手続をまとめます。

<株式×相続手続|基本>

あ 株式の保管

株式は証券会社が『保管』している

い 相続手続

ア 保管する証券会社の『名義書換』手続を行うイ 銘柄ごとに『株主印鑑票』が必要となる 発行会社or株主名簿管理人(信託銀行など)用のもの

4 株式×相続手続|『株券』現物

株式を『株券現物』として保管してあるケースもあります。
この場合の相続手続をまとめます。

<株式×相続手続|『株券』現物>

あ 前提状況

『株券』として被相続人が保管していた場合
自宅・貸金庫に『株券』として保管してあった場合

い 基本的手続

『名義書換』手続を行う

う 手続の内容

発行会社or株主名簿管理人に対して『名義書換依頼書』を提出する
《必要書類》
ア 株券イ 名義書換請求書ウ 株主印鑑票

5 株式×相続手続|『株券』がない場合・特殊

株式が『株券』として保管されていた場合に『株券になっていない株式』もあります。
このような『特殊な株式』の相続手続についてまとめます。

<株式×相続手続|『株券』がない場合>

あ 『株券』が発行されない具体例

ア 増資による登録株式イ 単位未満株式

い 必要となる手続

ア 名義書換(前記同様)イ 未収配当金がある場合→受領手続

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