【公正証書遺言のデータベース化・検索システムと閲覧・謄本取得】
1 公正証書遺言のデータベース化
2 公正証書遺言の検索システム
3 公正証書遺言の閲覧と謄本取得の方法
4 相続放棄を確認する家裁の手続(参考)
1 公正証書遺言のデータベース化
公正証書遺言はデータベース化されています。
これは『検索システム』の利用(後述)によって判明する情報の範囲と言えます。
<公正証書遺言のデータベース化>
あ データベース化の時期(検索可能な遺言)
昭和64年1月1日(ほぼ平成元年)以降に作成された公正証書遺言
い 記録項目(フィールド)
ア 作成日時イ 遺言者の氏名・生年月日ウ 公証役場・公証人の氏名
2 公正証書遺言の検索システム
相続人は,遺言者から『遺言がある』ということを知らされていないこともあります。
この場合は,ある方が亡くなった時に相続人は『遺言を探し出す』必要があります。
この点でも,公正証書遺言は優れたシステムがあります。
相続人が公証役場で『遺言の有無を検索』できるのです。
平成元年以降はデータベース化されており『作成した公証役場以外の公証役場』でも検索可能です。
<公正証書遺言の検索システム>
あ 検索できる公証役場
全国いずれの公証役場でも可能
い 検索できる方(後記※1)
時期 | 遺言者 | 相続人 | 受遺者(想定) | 相続財産管理人 |
遺言者死亡後 | ― | ◯ | ◯ | ◯ |
遺言者存命中 | ◯ | ☓ | ☓ | ☓ |
う 補足説明
ア 弁護士などの代理人(※1)
『検索できる方』から依頼を受けて検索の手続を行うことも可能
イ 必要資料など
事情によって,次のような資料・説明が必要になる
・相続の関係を示す戸籍事項証明書
・『受遺者と想定される事情』についての資料や説明
遺言者の立場としては『敢えて遺言の存在(作成したこと)を親族に黙っていたい』ということもあります。
一方で『遺言が発見されなかったら困る』という心配もあります。
このような場合には非常に有用なシステムとなっています。
3 公正証書遺言の閲覧と謄本取得の方法
前述の『公正証書遺言の検索』でヒットがあったら,遺言の謄本を取得できます。
<公正証書遺言の閲覧と謄本取得の方法>
あ 手続方法
公正証書遺言が作成された公証役場にて手続を行う
い 取得方法
ア 遺言書の閲覧イ 謄本の交付請求
4 相続放棄を確認する家裁の手続(参考)
実際の相続の場面で『公正証書遺言の検索システム』で遺言の有無を確認することはよくあります。これとは別の公的な調査手続があります。他の相続人の『相続放棄』の有無を家裁に確認する手続です。相続放棄によって相続権を持つ人や相続分(割合)が違ってきます。この手続も実務ではよく使われます。
これについては別記事で説明しています。
詳しくはこちら|他の方が『相続放棄をしたかどうか』を家庭裁判所へ照会できる
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