【調停前置=必要的付調停|例外=合意成立の余地/見込みなし|調停取下】
1 必要的付調停|例外|基本
2 必要的付調停|例外|合意成立の余地なし
3 必要的付調停|例外|合意成立の見込みなし
4 調停前置×調停『取下』
1 必要的付調停|例外|基本
調停前置に反する訴訟提起があった場合,裁判所は原則的に付調停にします。
これが『必要的付調停』です。
詳しくはこちら|調停前置|基本|趣旨・不服申立
この点『付調停』にしない,という例外的措置もあります。
まずは必要的付調停の例外の基本部分をまとめます。
<必要的付調停|例外|基本>
あ 調停前置の例外|基本
必要的付調停の状態において(前記)
調停に付することが『相当でないと認めるとき』
→裁判所は付調停にしないことができる
い 調停前置の例外|典型例
ア 合意が成立する余地がないイ 事案の内容から合意成立の見込みがない
具体例は後述する
※金子修『逐条解説家事事件手続法』商事法務p772
2 必要的付調停|例外|合意成立の余地なし
必要的付調停の例外のパターンの1つは『合意成立の余地なし』です。
具体的な典型例をまとめます。
<必要的付調停|例外|合意成立の余地なし>
あ 当事者の死亡・検察官が相手
身分関係の当事者の一方が死亡した
→相手が検察官である
※家事事件手続法277条第1項ただし書
い 相手方の行方不明
相手方が行方不明である
う 意思無能力+代理人NG
当事者が意思能力を有していない
+親権者・後見人が代理して合意することができない
※家事事件手続法252条2項
え 判断能力低下
相手方が精神障害であり判断能力が低い
※金子修『逐条解説家事事件手続法』商事法務p772
3 必要的付調停|例外|合意成立の見込みなし
必要的付調停の例外のパターンはもう1つあります。
『合意成立の見込みなし』というものです。
この具体的な典型例をまとめます。
<必要的付調停|例外|合意成立の見込みなし>
『相手方が合意しない』という強い態度である
ア 意思表明
従前の協議において相手方がそのように表明している
イ 協議拒絶
従前の協議において相手方が協議自体に応じない
別の当事者からの通知を無視している
ウ 調停取下(※1)
事前の調停で相手が『アorイ』の態度であった
→やむなく,申立人が調停を取り下げた
詳しい例を後述する
4 調停前置×調停『取下』
調停前置は,調停を経て訴訟を提起する,というものです。
具体的には『調停不成立』の後に訴訟提起,ということです。
詳しくはこちら|調停前置|基本|趣旨・不服申立
ここで『調停を取り下げた』という場合の扱いが問題となります。
これについては単純ではありません。
<調停前置×調停『取下』>
あ 調停取下の効果|一般論
調停自体をなかったものとして扱う
→『調停を経ていない』ことになる
※家事事件手続法273条2項
※民事訴訟法262条1項
い 実務・現実的扱い
調停取下の理由によって扱いが異なる
『協議による解決ができない』ことが理由である場合
→『調停を経た=調停不成立で終了した』と同様に扱う
=訴訟提起を可能とする(前記※1)
このように,調停の『取下』については実質的な内容で扱いが違うのです。
2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分
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