【普通財産の貸付は有償性・上限期間・解除に関するルールがある】
1 国有の普通財産の貸付
2 普通財産の貸付は原則的に有償とする
3 普通財産の貸付期間には上限が決められている
4 普通財産の貸付は更新できるが期間の上限はある
5 普通財産の貸付の解除
1 国有の普通財産の貸付
『国有財産』のうち『普通財産』は公共的な用途のものではありません。
そこで,民間と同様の活用方法が認められています。
詳しくはこちら|国有財産法の『普通財産』の内容と基本的ルール
代表的な活用方法としては貸付があります。
本記事では,普通財産の貸付について説明します。
2 普通財産の貸付は原則的に有償とする
普通財産の貸付では,国の所有物の有効活用を図る必要があります。
また,特定の借主が不当な利益を得ることは不公平であるため避けなくてはなりません。
そこで,原則的に貸付は有償とされます。
<普通財産の貸付の有償性>
あ 有償性
普通財産の貸付について
→原則として有償である
い 貸付料の支払
原則として貸付料は毎年定期に支払う
数年分を前納させることもできる
※国有財産法23条
う 例外的な無償での貸付
地方公共団体・水害予防組合・土地改良区に対して
一定用途を目的とする貸付について
→例外的に無償の貸付ができる
※国有財産法22条2項
3 普通財産の貸付期間には上限が決められている
普通財産の貸付の期間が長いと,国の所有物としての活用の制限が強すぎることになります。
そこで,貸付期間の上限が決められています。
<普通財産の貸付期間の上限(※1)>
あ 植樹目的の土地貸付
植樹を目的として土地及び土地の定着物(建物を除く)を貸し付ける場合
→60年以内
い 定期借地
土地について定期借地権(借地借家法22条)を設定する場合
詳しくはこちら|定期借地の基本(3つの種類と普通借地との違い)
→50年以上
う その他の土地貸付
『あ・い』を除いて土地及び土地の定着物を貸し付ける場合
→30年以内
え 建物・動産
建物・動産を貸し付ける場合
→10年以内
※国有財産法21条1項
4 普通財産の貸付は更新できるが期間の上限はある
普通財産の貸付の期間が満了したら基本的に貸付は終了します。
しかし,更新することは可能です。
更新する場合でも,新規の貸付と同様に期間の上限が適用されます。
5 普通財産の貸付の解除
普通財産は国が所有しているので,公共の用途が最優先です。
民間に貸付がなされている財産でも,状況によって公共の目的で使う必要が生じることがあります。
その場合は,国が一方的に貸付契約を解除することができます。
民間(同士)の賃貸借にはない国有ならではの特徴です。
もちろん,借主の経済的な損失についての補償は必要です。
<普通財産の貸付の解除>
あ 解除の要件(前提事情)
貸付期間中において
貸付契約を解除する必要が生じたとき
目的=国・公共団体が公共用or公用などに供するため
い 解除
『あ』に該当する場合
→各省各庁の長は貸付契約を一方的に解除することができる
※国有財産法24条1項
う 損失補償
貸付の相手方が契約解除により損害を生じた場合
→損失補償をしなければならない
※国有財産法24条2項
2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分
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